留学のすすめ


 ごあいさつ Hej!

医学生、研修医のみなさん、こんにちは!入局して15年目(平成13年卒)の鈴木慎太郎です。現在、スウェーデン王国・イェテボリ大学 クレフティングリサーチセンターに留学中です。私たちの医局は、ぜん息、COPD、肺がん、感染症、結核、びまん性肺疾患、膠原病肺、気管支鏡診断のスペシャリストが揃った素晴らしいチームです。そんな中、私は入局以来、自分の好きなことを中心に診療経験を積ませてもらいました。これまでの私の専門は?と聞かれたら・・・

 

① 食物アレルギー ② ぜん息・COPD ③ 高地医学(登山医学)と答えています。

私が関連施設である横浜市立みなと赤十字病院・アレルギーセンターで中村陽一センター長にアレルギー診療の「いろは」を教わったとき、内科領域の食物アレルギーは学会でも超マイナーな存在でしたが、今では学会場で立ち見が出るほどの盛況ぶりです。

 

つまり・・・私は「これから来るっ」という分野に飛び込むのが大好きなのです。

(世の中ではこれを「ミーハー」というそうですが・・・)

留学までの道のり Rut till Sverige

さて、そんな私が平成25年の冬に巡り会ったのがエクソソームexosomeでした。このナノサイズの粒子は、RNAやタンパク質などの荷物を運ぶ生体内の運搬装置Cargo/Shuttleとしてはたらき、細胞どうしの連絡手段になっていることが知られています。

なぜ、エクソソームと出会えたのか?それは、相良教授の企画で年に5~6回開催される医局のスペシャルレクチャーにエクソソーム研究の第一人者Jan教授がいらしたからです。1時間ほどの講演でしたがまさに内容に釘付けとなりました。がんや炎症の病態に関わり、生理機能の維持にも影響を及ぼす謎のナノ粒子。脳内や末梢組織にまで伝達されることも分かり、今後はDrug Delivery Systemの分野での利用も想定内のこと。そのとき私の夢は大きく膨らみました。

 

その晩、Lötvall教授との焼き鳥ディナーへご相伴あずかり、その席で隣席の教授に「先生の下で勉強させてください!」と頼み込んでいました。その結果、現在の自分があります。(なお、私の妻は現役産婦人科医ですが、彼女まで一緒のラボで勉強させてもらっています!)    

ただいま、ぜん息やアレルギー疾患におけるエクソソームの機能・形態解析に取り組んでいます。基礎実験を少し齧った程度の私にも周りの研究者が熱心に教えてくれます。一方で、私の臨床経験にも耳を傾けて研究テーマの参考にしてくれるなど、本当に素晴らしいラボに来られたなぁ、と実感しきりの毎日です。

スウェーデン王国 イェテボリGöteborg  ”Här ska staden ligga”

 ご存知の通り、スウェーデンは北欧・スカンジナビア半島に位置しており、海・湖・森・オーロラ・・・ときに氷などの自然が豊かな環境の国です。最近では女性に人気のインテリアや雑貨、おなじみのファスト・ファッション、ポップミュージックなど多様なスウェーデン文化が日本でも受け入れられています。もとを辿れば、全世界を股にかけた勇猛なバイキングの国ですが、現代では移民を広く受け入れなど異文化に対する懐の広さも特徴のひとつです。特筆すべきはアジア諸国では驚くべき女性の社会進出率で、労働者の半分は女性、閣僚も議員も役員も半分は女性、という状況です。キリスト教以外の宗教やトランスジェンダーへの理解も深く、多様なひとびとの自由と活躍が約束されています。    

イェテボリは西海岸に位置する第二の都市で、首都ストックホルムまで続くヨータ運河と岩山を削り取って出来たような剛健な概観が特徴です。ひとびとは皆、明るく陽気で、長い冬と短い夏をそれぞれの楽しみ方で過ごしています。トラム(路面電車spårvagn)の路線が街中を網羅しており、どこに出かけるのにも不自由しません(金曜の夜は翌朝まで遊べるようにトラムが一晩中走っています)。私のラボがあるイェテボリ大学は、中央駅からトラムで20分程の巨大な岩盤の上にそびえ建っており、欧州でも最高レベルの教育と研究を行っています。隣接する大学病院との連携も盛んで、同じラボにはCOPDやぜん息の疫学研究を行うグループも属しています。

 Lötvall教授以下、合計約30名のスタッフ・留学生が毎日研究に明け暮れており、いざディスカッションとなれば職位や年齢は関係なくフラットな議論が行われていることには大変驚きました。研究者の国籍は、日本(私ども夫婦)、韓国、中国、インド、スロバキア、ブルガリア、イタリア、ブラジル、メキシコ、ギリシャ、フィンランドそしてスウェーデン・・・とまさにインターナショナルで、宇宙船「地球号」(古いか?)のようです。

 大学による留学生への対応は手厚く、セキュリティ、健康管理、福利厚生、語学研修、住まい、通信などの手配を大学が整備しています。つまり、安心して学業・研究に没頭できるのです。(日本はまだそこまで進んでないですよね。)

 以上、取り留めもなく、ある中年医師の留学情報をお伝えしました。私たちの医局は全ての「患者さんのために仕事をしたいひと」、「なんでも学びたいひと」、「遊ぶことも好きなひと」、「外国で生活したいひと」には持ってこいの医局です。医局員の誰もがその権利を主張・行使でき、活躍中の女性医師が多い点ではなんだかスウェーデンと似通っていますね。誰もが自分の勉強したいことを勉強できる環境がこの医局には整っていることを、入局を考えている先生方に私が保証いたします。

 

 平成27年7月吉日

イェテボリ大学

クレフティングリサーチセンター

鈴木 慎太郎