大森 亨

大森 亨
おおもり とおる - Tohru Ohmori

大森 亨

抗がん剤感受性、耐性の分子機構の研究を行っています。

がんに対する治療薬の開発は急速に進んでおり、肺がんに使える抗がん剤の選択肢も増えてきました。しかし、肺がんに対する抗がん剤治療は、非常に有効である場合もあれば、それ程効果が見られない場合もあります。これは、個々の患者さんの肺がんが、それぞれ異なった性質を持っているからです。近年、がんの遺伝子やたんぱく質を調べてその特性を知ることで、どの抗がん剤が有効なのか、ある程度予想できる時代になってきました。私たちの研究は、抗がん剤が効く仕組み、効かなくなる仕組みを調べることによって、効果を予測し、個々の肺がん患者さんに合わせた最適な治療法を提供することを目指しています。

肺がんに対するある抗がん剤臨床試験の成績ですが、同じ治療を同じ条件で開始したにもかかわらず、日本人の生存期間の平均値は欧米諸国に比べて1.7倍も長いという驚くような結果になりました。このような良好な成績は、我が国の医療保険制度が大変充実していることも大きく影響していますが、肺がん診療に携わる日本の医療スタッフは、自分たちが世界で一番良い治療を行っているという自信を持って診療に取り組んでいます。昭和大学病院においても、呼吸器アレルギー内科、呼吸器外科、放射線科、腫瘍内科、緩和医療科が密に連携をとり、肺がんの患者様により良い医療を提供するよう、医療チームとして万全の体制を整えています。呼吸器アレルギー内科は、気管支喘息を中心に呼吸器疾患全般の診療を行っていますが、肺がんの診断・治療においても自信をもってお勧めできる診療科であると自負しております。近隣の諸先生方におかれましては、肺がんの疑い、もしくは治療の必要のある患者様を、安心して当科にご紹介いただければと思います。

臨床医にとって、これまでできなかった医療を患者様に提供できるようになるのは、本当に大きな喜びです。分子標的治療薬、免疫チェックポイント阻害剤といった新しい抗がん剤が登場し、また遺伝子解析技術が飛躍的に進歩したことにより、最近の肺がん治療はかつてないスピードで進展しています。このような方向で研究を進めれば、ついには全ての肺がんを克服できるのではないかと、現在世界中で多くの臨床医、研究者が治療法の開発に取り組んでいる非常にホットな領域です。これから臨床医を目指す多くの学生諸君が、肺がんの診療に興味を持ち、我々の仲間になってくれることを期待しています。

役職

兼任講師

専門分野

肺がん化学療法、腫瘍細胞生物学

経歴

昭和大学医学部卒業

留学

米国テネシー州 ヴァンダービルト大学医学部がんセンター(Carlos L. Arteaga教授) 

認定資格

医学博士

所属学会

日本内科学会
日本癌学会
日本癌治療学会
日本呼吸器病学会
日本臨床腫瘍学会
がん分子標的治療学会
American Association for Cancer Research

学外活動

近畿大学 医学部 ゲノム生物学教室 兼担講師

執筆

新臨床腫瘍学(日本臨床腫瘍学会)分筆
新培養細胞実験法(羊土社)分筆 など

受賞歴

Astrazeneca research grant
American Association for Cancer Research Young Investigator Awards 2005
American Association for Cancer Research Young Investigator Awards 1997
American Association for Cancer Research Travel Awards 1993