呼吸器疾患・アレルギー疾患の病態解明、新規治療法の開発につながるような研究活動を行っています。
研究活動を通して、医学の発展に寄与することを目標としています。
当教室では、喘息の本質的な病態メカニズムの解明に向けて、臨床・基礎の両側面から多角的な研究を展開しています。
喘息は、気道の慢性炎症と可逆性の気流制限を特徴とする疾患であり、発症・増悪に関与する免疫学的メカニズムや環境因子、気道構造変化(リモデリング)など多くの要素が複雑に関与しています。我々は、これらの病態の理解を深めることで、個別化医療の実現と新規治療戦略の開発を目指しています。
当教室では、肺癌に関する基礎から臨床に至る幅広い研究に取り組んでいます。
上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)は、特定の遺伝子変異を有する非小細胞肺癌患者に対して高い抗腫瘍効果を示す治療薬です。しかしながら、その効果は時間とともに減弱し、耐性獲得が大きな課題となっています。当教室では、EGFR-TKI 治療を受けている患者さんの血液からcell-free DNA を抽出・解析し、耐性獲得機序の解明および新たな治療効果予測因子の探索を行っています。さらに、オシメルチニブおよびその代謝物の血中・組織内濃度に注目し、治療反応の個人差に関連する因子についての研究も進めています。
高齢化が進む我が国では、多くの併存症を抱えた肺癌患者の治療が求められており、大学病院はその中心的な役割を担っています。当教室では、現実の診療現場(リアルワールド)での治療成績、安全性、予後予測因子に関する研究を積極的に行っています。特に、併存症を有する高齢患者に対する適切な治療選択や、副作用マネジメントの最適化に寄与する知見を蓄積し、日常診療に還元することを目指しています。
当教室では臨床の場で20 年以上前からPSG 検査を行い、当時の臨床研究において様々な報告を行いました。
これらの報告は、その後、睡眠時無呼吸症候群が全身での炎症を惹起することで、高血圧や心血管疾患、糖尿病、肥満などをはじめとしたさまざまな全身疾患との関連することを裏付けることにつながるものでした。その後、研究留学を経て、基礎研究としてのマウスモデルにおける睡眠時無呼吸に伴う間欠的低酸素曝露装置を用いた実験を継続しました。
最近では、睡眠時無呼吸患者の外来診療におけるアシストツールの開発を進め、様々な業界の中でも最も遅れているとされる医療業界において、経済産業省が進めている、DX 推進ガイドラインに即した、DX(デジタルトランスフォーメンション、Digital Transformation)化を進めています。
今後も、臨床研究、基礎研究、DX 化など、様々な研究を進めていく予定です。
医学生や研修医の先生で興味があるようでしたら、一緒に進めて行きましょう。
当教室では、医学部学生に対する臨床技能教育の質の向上を目指し、シミュレーターを活用した教育手法の研究に取り組んでいます。
限られた臨床実習時間の中でも、医学生が安全かつ効率的に臨床技能を習得できる環境を整えることは喫緊の課題です。各種シミュレーターを用いた反復学修によって、診療手技の確実な習得と学修意欲の向上を図っています。
具体的には、静脈採血、末梢静脈路確保、動脈採血、気道吸引、呼吸音聴診、鼻腔・咽頭ぬぐい液の採取、胸腔穿刺、気管支鏡操作など、多岐にわたる臨床技能に対応したシミュレーターを用いて、技術修得のための学修を行っています。これらのシミュレーション学修が、学生の主体的な学びや学修モチベーションにどのような影響を与えるかについても検証を行っており、教育効果を科学的に評価しながらカリキュラム改善に活用しています。
今後も、より良い医学教育環境の構築に寄与すべく、教育研究を行っています。
当院は都内2施設のアレルギー拠点病院として、全国から患者さんをご紹介いただいております。臨床上は、特にアニサキスアレルギー、成人の診断(皮膚試験・食物経口負荷試験)、免疫療法、渡航などの社会生活支援では国内有数の症例経験を有しております。また、研究活動も活発であり、当教室はアレルギー疾患の病態解明と治療法開発のため、以下の研究に取り組んでおります。
これらの研究を通じ、アレルギー疾患に苦しむ患者さんのQOL 向上に貢献すべく努めてまいります。
当教室ではアレルギー喘息モデルマウスを用いた研究を行ってきました。Balb/cマウスに、オボアルブミンやハウスダスト抽出液、アルテルナリアなどの真菌抽出液を吸入させることで、喘息に特徴的な好酸球性気道炎症や気道リモデリングを持った喘息モデルマウスを作成することができます。アレルゲン曝露後の炎症を引き起こすシグナル経路の解明や吸入ステロイドや気管支拡張薬などの反応性を評価し、新規薬物の有効性を評価する研究を行っています。
気道上皮細胞を用いた気道疾患の病態解明に取り組んでいます。気道上皮細胞株として、BEAS-2B、Calu-3、16HBE14o-などを所有・保管しています。またヒト気道上皮細胞培養も行うことができる環境を有しています。気相液相培養(air-liquid interface: ALI)を行うことでより生体に近い環境で培養を行い、細菌やウイルス、タバコ煙などによる気道上皮細胞への影響を検討し、各種治療薬の反応性を検討する実験を行っています。喘息やCOPDの病態解明につながる研究を継続して行っています。
昭和大学呼吸器・アレルギー内科では、他大学・研究機関とともに積極的な共同研究を行っています。当教室では以下の研究資材や臨床関連検体を利用できる環境にあります。
共同研究のご提案がありましたらお気軽にご連絡ください。