アナフィラキシーは発症からわずか数分〜数十分で致命的になり得ます。そのため、医療機関に到着する前(プレホスピタル)の対応が生死を左右します。国内外のガイドラインは、症状を疑った時点でただちに大腿前外側へアドレナリン自己注射薬(エピペン®)を筋肉内投与するよう強く推奨しています。しかし実際にエピペンを携行している患者さんは9〜28%に過ぎないとの報告があり、使用の遅れが重症化の一因となっています。食物アレルギーによる発作を対象にした研究では、エピペンを発症早期に使用した群の入院率は17%で、未使用群の43%に比べ有意に低下していました(p<0.001)。
昭和医科大学病院では救急科・集中治療部・呼吸器アレルギー内科が連携し、24時間体制でアナフィラキシー治療にあたっています。初療では
症状が落ち着いても数時間〜半日後に再燃する「二相性反応」が0〜6%で報告されています。二相性反応は初回より軽く済む場合もありますが、時に初回同様に重篤となりえます。発生率は0~6%程度と報告されており、約半数は初回症状から6~12時間以内に起こるため、当院では原則4〜6時間以上(重症例では24時間程度)の経過観察を行います。
退院後の再発予防はきわめて重要です。当科では、再発時に備えた緊急対応計画を含む患者教育用ハンドブックを作成し、配布しております。概要は ApoTalk誌(参考文献参照)に掲載済みですので、必要に応じてご参照ください。以下に外来で実施している主な精査・指導項目をご紹介します。
Cardona Vほか. 世界アレルギー学会ガイドライン2020. World Allergy Organ J. 2020;13(10):100472