薬剤性肺障害
Guidance of knowledge and topics in Respiratory Medicine and Allergology

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概論

わが国では薬剤性肺障害、特に薬剤性間質性肺炎の発症頻度および死亡率が諸外国と比較し高率である。薬剤性肺障害とは薬剤を投与中に起きた呼吸器系の障害の中で薬剤と関連があるものと定義される。薬剤とは医師が処方した薬剤の他、一般薬、生薬、サプリメント、栄養食品、法律で禁止されているもの、添加物など全てを含む。わが国の薬剤性肺障害の動向として、喫煙歴などリスク因子のある中高年男性に多く、原因薬剤は抗悪性腫瘍薬が過半数を占め、抗リウマチ治療薬、漢方等が次ぐ。

症状

薬剤性肺障害の症状は呼吸困難、乾性咳嗽、胸痛、喘鳴、血痰等があり、症状の乏しい場合でも経皮的動脈血酸素飽和度の低下や新たな胸部異常陰影で疑うきっかけとなる。

検査

薬剤性肺障害を疑った場合には、1.原因となる薬剤の摂取歴、2.薬剤に起因する臨床病型の報告、3.他の原因疾患の否定、4.薬剤中止による病態の改善、5.再投与により増悪する等の診断基準に従って診断するが、再投与はリスクが高いことから患者の安全管理上原則行わない。鑑別として、既存の肺・胸膜病変の悪化、日和見感染症を含む感染症、心原性肺水腫の除外を要し、症状や身体所見に加え、胸部画像所見、呼吸機能検査、血液生化学・免疫学的検査、気管支鏡検査で総合的に検討し診断に至る。

治療

治療は、被疑薬を速やかに中止する。呼吸不全症例に対しては、ステロイドや免疫抑制剤を併用する。状況に応じ、酸素投与や非侵襲的陽圧換気法、気管挿管下の人工呼吸器管理を行う。薬剤性肺障害は、同一薬剤でも多彩な臨床経過や胸部画像所見、組織所見を呈するため、個々人、各薬剤のリスク因子を理解し、薬剤性肺障害の適切な治療を行うことが重要である。

患者さんへ

どのような薬剤でも薬剤性肺障害を引き起こす可能性があります。呼吸症状を感じている方は、医療機関受診の際、全ての薬剤・サプリメントの情報を提供いただきますようよろしくお願いします。

著者

秋本 佳穂