急性呼吸促迫症候群ARDS
Acute Respiratory Distress Syndrome

急性呼吸促迫症候群ARDS
Acute Respiratory Distress Syndrome

ARDSは重症な呼吸不全を呈する症候群であり、原因が多様です。原因として、肺の直接損傷(肺炎など)によるものと、肺以外に原因が存在する間接損傷(敗血症や外傷、急性膵炎など)に大別されます。しかし、実臨床では両者を明確に区別することは困難です。ARDSはサイトカインや脂質メディエーター、接着分子などが複雑に関わり、肺内に集積した活性化好中球が放出する活性酸素や蛋白分解酵素が血管内皮や肺胞上皮の透過性を亢進させることで生じる非心原性肺水腫です。①1週間以内の経過で急性発症、②酸素化障害、③胸部X線やCTで両側性陰影、④心不全や輸液過剰ではないものがARDSと診断されます(2012年ベルリン基準)。

ARDSに特異的治療法はなく、人工呼吸器管理(肺保護換気戦略)を含めた集学的治療が必要になります。

また、原疾患が多岐にわたることから診療科を横断した連携が必要であり、看護師、工学技師、理学/作業療法士、社会福祉士などコ・メディカルの協力も必須です。診断・治療に課題があることはさることながら、良好なコミュニケーションの下でより実践的なチーム医療の提供が求められる難しさもあります。

著者

桑原 直太