喘息とは?:病態から検査、診断について
What is asthma? -Pathophysiology, testing, and diagnosis

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喘息の病態について
Asthma pathophysiology

喘息の定義

気管支喘息は、
慢性の気道炎症を本態とし、変動性を持った気道狭窄(喘鳴、呼吸困難)や痰などの臨床症状で特徴づけられる疾患
と定義されています(喘息予防・管理ガイドライン2018)。

喘息の症状

喘息の症状として、夜間、早朝に強い咳嗽や喘鳴をともなう呼吸困難感、息切れのような典型的な症状のほか、胸痛や息がしづらい、咳が長く続くなど多彩な症状があります。また、心疾患、慢性感染症、喫煙関連疾患、GERD、鼻疾患等は同様な症状を呈することがあり、さらに、これらの疾患が合併しうることから、診断は容易ではありません。
また、気管支喘息は一般的にアレルギーが関与した疾患と考えられていますが、非アレルギー性の炎症が主体の気管支喘息が存在し、気道の過敏性や気道リモデリング(非可逆的な気道の狭窄の進行)を生じます。

昭和大学は喘息の専門医療機関です
Showa University has a specialized clinic for asthma

昭和大学病院呼吸器アレルギー内科(旧第一内科)は、喘息治療のエキスパートとして日々の研鑽を重ねてきた歴史があり、詳細な問診、診察、検査で喘息を診断・評価したうえで、最新の治療をタイムラグなく患者さんに提供できる環境を整備し、個々の症例に応じたきめ細かいサポートを心掛けております。
一般診療で

  • 喘息が疑われるが診断が難しい
  • 喘息治療を行っているが患者さんの症状が良くならない
  • 咳が続いていて詳しく調べてほしい

といったご要望、ご相談があれば気軽にご紹介ください。また、悩んでいる患者さん自身のご相談にもご対応させていただきます。

喘息の検査
Asthma testings

喘息を診断するために当院で施行している検査を紹介します。

呼吸機能検査

1秒率(FEV1.0%)(<70%で閉塞性呼吸機能障害)やフローボリューム曲線、広域周波オシレーション法で気道閉塞や気道抵抗を評価します。

気道可逆性検査

喘息が疑われ、気道が狭窄している際に行われる検査です。気管支拡張薬を吸入後、FEV1.0が12%以上かつ200ml以上改善した場合、気道可逆性陽性とし、喘息と診断できます。

PEF測定

簡便に測定でき、気流閉塞の程度を反映し、FEV1.0と相関するため、日内変動評価や喘息の自己管理のツールとして喘息日誌とともに用います。

気道過敏性検査

当院ではメタコリン(メサコリン)を用いて日本アレルギー学会標準法で施行します。メタコリンエアゾルを低濃度から2分間吸入させ、1秒量の測定を行います。1秒量が20%以上低下した場合に気道過敏性陽性となり喘息と診断できます。1秒量が20%低下するメタコリン濃度をPC20として算出します。

呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)測定

気道中の炎症を反映する物質です。アメリカ胸部学会では50ppbを超える場合は気道に好酸球性炎症が存在することを示唆します。吸入ステロイド薬などに反応性する可能性が高く、25~50ppbは臨床症状を見ながら慎重に判断することが示されています。日本人での研究では22ppb~36.6ppbが正常者と喘息患者のカットオフ値という報告もあり、その解釈については専門医が総合的に判断します。

血液検査

白血球分画で好酸球数、好酸球比率やアレルギー評価(非特異的IgE測定、ダニやハウスダスト、花粉、カビ、ペットなどの吸入抗原に対する反応性を評価)、アレルギー性肺アスペルギルス症を含めた真菌関連疾患や好酸球性肉芽腫性血管炎、その他の慢性咳嗽をきたす疾患(感染症、腫瘍性疾患等)に関する評価を行います。

喀痰分画検査

喀痰中の好酸球数を評価し好酸球性気道炎症の評価を行います。正常値は、喀痰中好酸球比率2~3%以内とされています。

その他

この他にも患者さんの個別の事案に対し、詳細なアレルギーの評価(薬剤DLST、好塩基球遊離検査、皮膚テスト(パッチテスト、プリックテスト)、入院での負荷試験(運動誘発試験も含む))、生活環境の評価やアドバイス、合併疾患の専門外来との連携を行っています。

著者

原文:山本真弓 / 校正:井上英樹