喘息の治療:吸入療法について
Asthma treatment: inhaled corticosteroids

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喘息治療の目標
Goal for asthma treatment

喘息治療の目標は症状や増悪がなく呼吸機能が正常または患者さんの自己最良値に維持することです。具体的な喘息管理の目標としては以下のものがあります:

  • 症状コントロール:気道炎症の制御、PEFが予測値の80%以上かつ日内変動10%未満
  • 将来のリスク回避:経年的呼吸機能低下の抑制、喘息死の回避、治療薬の副作用の回避

喘息の診断後、症状のステージにあった治療を開始します。

喘息の治療ステップ

治療ステップ1:ICS(低用量)+ LTRA, テオフィリン徐放製剤

治療ステップ2:ICS(低~中用量)+ LABA(配合剤), LAMA, LTRA, テオフィリン徐放製剤

治療ステップ3:ICS(中~高用量)+ LABA(配合剤), LAMA, LTRA, テオフィリン徐放製剤

治療ステップ4:ICS(高用量)+LABA(配合剤), LAMA, LTRA, テオフィリン徐放製剤,抗IgE抗体, 抗IL-5抗体, 抗IL-5Rα抗体, 経口ステロイド薬, 気管支熱形成術

全てのステップにおいて発作時は、SABAを併用します。

略語:ICS:吸入ステロイド薬、LABA:長時間作用性β2刺激薬、LAMA:長時間作用性抗コリン薬、LTRA:ロイコトリエン受容体拮抗薬、SABA:短時間作用性吸入β2刺激薬、抗L-5α抗体:抗IL-5受容体α鎖抗体

未治療患者の症状と目安になる治療ステップ

治療ステップ1(軽症間欠型相当):症状が週1回未満、症状は軽度で軽い、夜間症状は月2回未満

治療ステップ2(軽症持続型相当):症状が週1回以上、しかし毎日ではない、月1回以上日常生活や睡眠が妨げられる、夜間症状は月2回以上

治療ステップ3(中等症持続型相当):症状が毎日ある、SABAがほぼ毎日必要、週1回以上日常生活や睡眠が妨げられる、夜間症状が週1回以上

治療ステップ4(重症持続型相当):治療下でもしばしば増悪、症状が毎日ある、日常生活が制限される、夜間症状がしばしば:

喘息治療の基本は吸入ステロイド薬です
Inhaled corticosteroids as a basic asthma drug

すべての治療ステップの基礎になるのが吸入ステロイド療法です。
現在、単剤のステロイド薬、ステロイド薬と気管支拡張薬である長時間作用型β2刺激薬の合剤が多数発売されています。また、中等度以上の治療ステップでは長時間作用型抗コリン薬の吸入薬の併用も考慮されます。
合剤も含めた吸入ステロイド薬には大きく分けて2タイプあります。

  • パウダータイプ(DPI)
  • エアゾール製剤(pMDI)

です。メーカー各種で吸入薬の形(デバイス)や注意点が異なるので、初めて処方する(される)際は吸入方法を十分確認してください。

吸入の方法について
How to use inhalers

飲み薬と違って、吸入薬は正しい吸入方法を行わないと、期待した薬効が得られません。以下に、吸入薬の使い方をまとめます。

<一般的な吸入方法>

  1. 可能な範囲でゆっくり息を吐く
  2. DPI:吸入口をくわえ息を勢いよく深く吸い込む
    pMDI:吸入口をくわえ、ボタンを押すと同時に2秒以上かけてゆっくり吸い込む
  3. 口を離し3-5秒息を止める(薬剤が肺に沈着する効果を高める)
  4. 息をゆっくり吐き出す
  5. 吸入後はしっかりうがいをする(不十分なうがいは口腔カンジダ症の原因となります)。うがいが難しい場合は飲み物などで口をゆすぎの飲み込む、吸入前に水を飲んで口を湿らせる、食前に吸入するなどの対応を考慮します。

DPI製剤は吸入の力(流速)が十分であるか各メーカーが提供するトレーナーやホイッスル、市販のインチェック🄬を用いて評価します。pMDIは噴霧と吸気の同調が必要ですが、難しい場合スペーサーと呼ばれる吸入補助器具を用いて確実な吸入ができるようにします。

著者

原文:山本真弓 / 校正:井上英樹