「おとな」の食物アレルギー(成人食物アレルギー)

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「おとな」が何歳からなのか?

定義は様々ですが、奈良時代以降の日本では12歳以降で元服(げんぷく)していたようです。体つきや内臓の発達状況を考えると中学生から高校生以降はほぼ成人と同等に病気のことを考えてあげる必要があるのではないでしょうか?

実はこのような子供でもない、おとなでもない、「移行期(いこうき)」の世代から成人の食物アレルギー外来では診療対象としています。小児科では0歳~14歳程度まで、成人内科では15歳~100歳(亡くなるまで)を対象にしていると表現すれば、成人内科がどれだけ広い年齢層をカバーしているのかよく分かるかと思います。

つまり、それだけ広い年齢層を相手にするとなると、スポーツ・文化、生活習慣、運動能力、就労状況、合併症の有無など、食物だけの影響だけとは単純に言い切れない様々なファクターを抱えているのが「おとな」の食物アレルギー診療の難しい点です。

特殊な食物アレルギーにも記述しましたが、思春期~成人の食物アレルギーの場合、単純に食物由来のアレルゲンの摂取だけでは発症しないケースが多々あります。当施設では、そのようなことを想定し、初回の外来(初診)では詳しい問診をとります。

具体的には「(患者さんが原因と考えている食物を口にした日)一日の行動記録」です。アレルギー・アナフィラキシーが発症した時点を基点に少なくとも24時間以内の記録が正確な診断には必要となります。なぜなら、上述したようにアレルギーを増強させる種々の要因(運動、薬剤服用、手術・歯科治療、月経など)の情報や、食べてから(飲んでから)10時間以上経過してから発症する型式の食物アレルギーが存在するからです。具体的には

  1. 納豆アレルギー
  2. 獣肉によるアレルギー
  3. 薬剤や健康食品などカプセルで被包された食物由来の成分によるアレルギー
  4. ゼリー状食品など粘調性のものによるアレルギー

がその代表例になります。

食物日誌(Food Journal/Food Diary)

専門施設では「食物日誌(Food Journal/Food Diary)」といった冊子を配布し、患者さんに記入してもらっていますが、記入する媒体は何でも構いません。ノートでも、チラシの裏でも、スマホのメモ機能でもいいので、発症した直後に記録しておいて専門外来を受診する際に提示できるように準備をしておく必要があります。

アレルギーの原因(誘因)

また、最近、私たちが経験した患者さんでは、食事をしている最中に昆虫に刺され、それがアナフィラキシーの誘因となった方がおられました。「なんとなくチクッとした」症状を患者さんが覚えていたため診断に至りました。

アレルギーの原因(誘因)を突き止めるためには先入観を取っ払って、患者さんに生じた様々な出来事をつぶさに観察することが重要であることを教えてくれました。

著者

鈴木 慎太郎