呼吸不全、低酸素血症
Respiratory failure and hypoxemia

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呼吸不全とは:肺の酸素の取り込みが不十分なことによる低酸素血症
Definition of respiratory failure

呼吸不全(こきゅうふぜん)とは、肺の酸素の取り込みが低下することによって起こる低酸素血症の状態のことを指す。呼吸不全は発症時期によって急性(2週間以内)と慢性(1ヶ月以上)に分けられる。また、二酸化炭素(炭酸ガス、CO2)の貯留の有無によっても分類され、血液中の二酸化炭素の貯留がなければⅠ型呼吸不全に、二酸化炭素の貯留があればⅡ型呼吸不全に分けられる。呼吸不全によって低酸素血症が長引くと全身の臓器への酸素の供給が滞り種々の合併症が生じるようになる。速やかに治療をしなければ命に関わる緊急な状態に陥る。

Ⅰ型呼吸不全について:二酸化炭素の貯留を伴わない低酸素血症
Type I respiratory failure: hypoxemia without hypercapnia

Ⅰ型呼吸不全を来たす代表的な疾患としては、肺炎(細菌性肺炎、非定型肺炎、ウイルス性肺炎など)をはじめとして、Acute Respiratory Distress Syndrome(ARDS)、間質性肺炎とその急性増悪などがある。心不全などの呼吸器以外の疾患でも呼吸不全を来たす場合もある。治療としては、原疾患の治療を行うとともに酸素投与を行う。軽度の低酸素血症であれば経鼻カニューラやマスクによる酸素投与を行う。重度の低酸素血症の場合は気管内挿管を行い、人工呼吸管理による呼吸調節が必要となる。重症呼吸不全症例についてはICU(集中治療室)に入室の上、ICU専属医師やスタッフと協力しながら治療に当たっている。当院ICUでは腹臥位による人工呼吸管理(prone position therapy, PPT)やPMXなどのエンドトキシン吸着療法なども施行可能であり、様々な重症呼吸不全症例に対応できる設備や専門スタッフが揃っている。

Ⅱ型呼吸不全について:二酸化炭素貯留を伴う低酸素血症
Type II respiratory failure: hypoxemia with hypercapnia

Ⅱ型呼吸不全を来たす代表的な疾患としては、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の急性増悪、慢性呼吸不全の急性増悪、重症喘息発作などがある。Ⅱ型呼吸不全に対して過剰な酸素投与を行うと自発呼吸が抑制され、さらに二酸化炭素貯留が悪化し意識障害を来たすCO2ナルコーシスという状態になりうるため、より厳密な呼吸管理が必要となる。重症例については非侵襲的気道陽圧換気(Nasal Intermittent Positive Pressure Ventilation , NIPPV)によるマスク換気も積極的に行っている。その他当院では、高流量鼻カニューラ(本邦ではネーザルハイフローとも称される)による呼吸管理も、患者さんの負担が少ない酸素投与方法として積極的に用いている。上記は、肺癌などの悪性腫瘍の末期状態(ターミナルケア)の呼吸管理としても積極的に用いている。

昭和大学呼吸ケアチームとの連携
Showa University respiratory care support team (RST) for respiratory failure

呼吸不全の治療には医師の診断や薬物療法、酸素療法だけではなく、適切な気道吸引や栄養管理、リハビリテーションなど多職種と連携した総合的な医療ケアが必要である。昭和大学 呼吸器・アレルギー内科では呼吸器病棟の専門のスタッフ(医師、看護師、理学療法士、臨床工学技士、栄養士など)が一つのチーム(Respiratory Care Support Team , RST)となって良質な医療を患者に提供できるよう呼吸ケアを推進している。

リンク

日本呼吸器学会 呼吸器の病気 H-01 急性呼吸不全・ARDS
https://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=36

日本呼吸器学会 呼吸器の病気 H-02慢性呼吸不全
https://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=37

著者

井上 英樹